年金「現役収入の半分」以下

年金「現役収入の半分」以下

年金「現役収入の半分」以下 長期見通し 目標達成難しく

厚生労働省は3日、公的年金の長期的な財政について
8つのケースの見通しをまとめた。ほぼゼロ成長が
続き、女性や高齢者の就労が増えない3つのケースでは、
約30年後までに会社員世帯の年金水準は政府が目標と
する現役会社員収入の50%を下回る。50%を維持する
5ケースも年金の運用利回りが4%台など強気のシナリオが
前提だ。将来の年金が減るという若年世代の不安を
和らげるには、女性の就労促進に加え、現在の高齢者への
給付抑制など抜本対策も急ぐ必要がある。
日本経済新聞2014年6月4日1面、5面より

かねてより議論が続く年金制度改革に関して、厚労省の
見通しが発表され、「年金が現役世代収入の半分以下」に
なる可能性が言われています。

今の若い人たちは、働いている間に年金保険料を
払い込んでも、将来受け取れる年金は現役の時の
収入の半分になるという意味です。14年度に会社員の
夫と専業主婦の妻が受け取る年金は合計で月額
約21.8万円で、現役会社員世帯の平均収入に対する
年金の割合(所得代替率)は62.7%だそうですので、
著しく低下することになります。

所得代替率5割を保つためのシナリオは、働く女性や高齢者が増え、
労働力が増し、年金積立金の運用が高利回りで成功することを
前提にしており、根拠に乏しいといわざるを得ません。

厚生労働省は100年にわたって「5割」を保証できるように、
04年に毎年1%ずつ年金額を下げる仕組みをつくったそうですが、
高齢者の減額に反発する声を恐れて、実施する環境整備を怠り、
今まで一度も使っていないそうで、受給者がもらう年金が
04年よりも多くなるという誤算まで生んでいるそうです。

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人
(GPIF)は全資産の55%を国債に振り向けており、
10年物国債の利回りが0.6%の環境下では、目標とする
1.7%の利回りには到底及びません。だからといって、
運用配分を株式にシフトして高利回りを狙うことは
できません。この資金は、「リスクを取れない資金」
だからです。「リスクを取れない資金」が運用において、
高いリターン(利回り)を確保することなどできません。

GPIFによる運用で、高い利回りを期待するのであれば、
「資金が減る可能性がある」というリスクを受け入れる
必要があります。しかし、その受け入れを行なえる人は
いませんので、GPIFによる株式運用の配分増加で
利回りを上げることは現実的ではありません。GPIFの
運用も、GDP成長率が上昇し、金利が上昇することで
国債の利回りが増加することを期待するしかないのです。
いつまでも、「GPIFの運用を上げる」と言っていても、
これは実現不可能と知り、他の対策を打つしかありません。

対策としては、
「受給年齢の引き上げ」「保険料納付、5年延長」
が上がっています。もう1つ、「株式活用、利回り高く」と
上がっていますが、これについては上記において、困難な
理由を説明しました。

いずれの対策も、国と国民全ての痛みを伴うものです。
痛みを避けて先送りすれば、いつかもっと大きな
痛みになって降りかかってきます。年金問題に関しては、
目を逸らすことなく議論と対策を続けるべきなのです。

そして、私たち国民は、年金制度が揺らいでも
安心して生きていける経済的、精神的、肉体的な
強さを持つことが必要です。それが豊かに生きることであり、
国を豊かにすることだと思います。

老後を安心して幸せに生きていけるように、
ご自身の将来を見据え、今を生きてください。