昨年読んだ書籍「格言で学ぶ 相場の哲学」(鏑木 繁著 パンローリング社)の中に、「三年鳴かず、飛ばず。」という格言を読み、心を惹きつけられた。この格言は、現代では「あまりぱっとしない様」を指す例えとして用いられることも多く、私も例に漏れずそのように理解していた。
しかし、この格言には、続きがあった。「三年鳴かず、飛ばず。ひとたび飛べば天にいたらん」。つまり真意は全く別にあった。この格言は、史記や呂氏春秋、韓非子などに同様の格言があり、「3年間鳴かず飛ばずにいる鳥は、ひとたび飛ぶと天まで上がり、人を驚かす」という例えから、大いに活躍する機会を待って、長い間じっとしていることを指していた。
投資においても値動きが長い間ぱっとせずに保ち合いを形成する局面に、度々遭遇する。保ち合いは、いずれ何らかの材料をきっかけに動意付き、強いトレンドを発生するものだ。時に天まで上るように。あるいは、私たちの投資資金にも、同じことがいえる。資金の上昇が止まり、停滞や減少を見せることがある。その間、鳴かず、また飛ばなかったとしても、次にひとたび飛べば、天にいたらんという気持ちで、その時をじっと、準備万端に整えた上で、待ちたいものだ。
人生についても同じだと思う。人が生まれてから死ぬまで、終始順風満帆で上り通しということはない。ある時には、状況が全く変わらず、閉塞し、それが永久に続くように思われることもある。特に、渦中にいる人にとって、いつか来るその時までに、強い気持ちを持ち続け、前を、上を向き続けることは難しいものだ。しかし、その時こそ、この格言を思い出したい。
「三年鳴かず、飛ばず。ひとたび飛べば天にいたらん」
今が低迷し、閉塞し、くじけそうになっても、忍耐を持ち、準備と行動を続け、その時がくれば、天にいたらんがごとく飛ぼう。

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